PAXgene Blood RNA Kit
パクスジーンRNA採血管で安定化した全血からの細胞RNAの分離および精製
パクスジーンRNA採血管で安定化した全血からの細胞RNAの分離および精製
PAXgene Blood RNAシステムは血液採取、安定化、輸送用のパクスジーンRNA 採血管(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、cat. no. 762165)とスピンカラムフォーマットのシリカメンブレンをベースにしたRNA精製用PAXgene Blood RNA Kit で構成されています。本精製法はマイクロ遠心機を用いたマニュアル操作、あるいはQIAcubeを用いた自動化も可能です。チューブおよびキットは、正確なパフォーマンス詳細データを提供し、信頼性の高いRNA精製が可能になります。
パクスジーンRNA採血管は、全血の採取に使用され、18~25℃で最長3日間〔図"RNA安定性(18~25℃):FOS" および "RNA安定性 (18~25℃):IL1B"〕または 2~8℃で最長5日間〔図"RNA安定性(2~8℃):FOS" および "RNA安定性 (2~8℃):IL1B"〕。現在入手可能なデータは、–20℃あるいは–70℃で少なくとも96ヶ月間細胞RNAが安定であることを示しています。
PAXgene Blood RNA System を用いて精製したRNAでは、A260/A280値は1.8 から2.2 の間で、ゲノムDNAの含有量は1.0% (w/w) 以下の高純度RNAです。検体の少なくとも95%は、溶出液の最高30%までをRT-PCR反応に使用しても、反応阻害はありません。
サンプル調製時間の平均は約90分 で(12サンプル処理をした場合) 、マニュアルでの作業による時間はわずか40分です。健常者の全血2.5 mlからのRNA収量は、調製された検体の95%以上で3 μg以上になります。収量はドナー依存性が高いため、個人個人での収量は変動します。個々のドナーでは、PAXgene Blood RNA Systemは再現性の高い収量 (図" 再現性のあるRNA精製"と " 再現性のあるRNA収量")、ならびに再現性の高いRT-PCR結果(図"RT-PCRの再現性 ─ ユーザー間"と"RT-PCRの再現性 ─ キットのロット番号"、および表)を実現するため、臨床研究に最適です。
2.5 ml の健常者の全血からのRNA収量は、調製された検体の95%以上に相当する3 μg 以上です。図 "RNA収量ー自動化調製"では、3種類のロット番号を持つキットを用いて3人のオペレーターが自動化プロトコールにより合計288サンプルから精製したRNA収量を示します。個々のPAXgene Blood RNA Tubes の代わりにプールした血液検体を使用したために、結果は個々に採取した血液検体から予想されるRNA収量を反映していません。収量はドナー依存性が高いため、個人個人での収量は変動します。
検体の少なくとも95%は、溶出液の最高30%までをRT-PCR反応に使用しても、反応阻害はありません。自動化プロトコールを用いて、RNAネガティブ検体(水)とRNAポジティブ検体 (ヒト) からbetaglobinとFOS転写物を同一ランでリアルタイム定量RT-PCRで測定した場合、サンプル間のクロスコンタミは検出されません。
PAXgene Blood RNA System と自動化プロトコールで精製したRNAは、RT-PCR阻害物質は観察されず (上記参照)、A260/A280値が1.8~2.2であり、高純度であることを示しています。beta-actin遺伝子配列のリアルタイム定量PCRの結果、全サンプルの95%以上で混入するゲノムDNAは1% (w/w)未満です。図 "RNA収量ー自動化調製"には、A260/A280値と、3種類のキットロットによる自動プロトコールに従って3名のオペレーターによって調製された全288サンプルの比較上のゲノムDNAを示しています。
PAXgene Blood RNA Systemを用いたRNA精製用自動化プロトコールは、図 "自動化およびマニュアルプロトコールにおける RT-PCRの再現性" に示すように再現性のあるRT-PCR結果が得られます。
試験系 | FOS/18S rRNAアッセイ | IL1B/18S rRNA アッセイ | ||
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データの比較 | 平均値 | ± SD | 平均値 | ± SD |
(ΔΔCT) | (ΔΔCT) | (ΔΔCT) | (ΔΔCT) | |
各ユーザーでの、全ロット間での再現性 | ||||
全ユーザー、ロット1-ロット1 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
全ユーザー、ロット1-ロット2 | –0.03 | 0.48 | –0.07 | 0.66 |
全ユーザー、ロット1-ロット3 | –0.21 | 0.52 | 0.11 | 0.71 |
各ロットでの、全ユーザー間での再現性 | ||||
全ロット、ユーザーA-ユーザーA | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
全ロット、ユーザーA-ユーザーB | –0.46 | 0.44 | –0.06 | 0.69 |
全ロット、ユーザーA-ユーザーC | –0.31 | 0.60 | –0.15 | 0.71 |
PAXgene Blood RNA Kit により、パクスジーンRNA採血管に採取したヒト血液(2.5 ml)からトータルRNAを精製します。操作は非常に簡単で、マニュアルあるいは自動化操作を使用できます(フローチャート "PAXgene Blood RNAのマニュアル操作" および "PAXgene Blood RNA操作の自動化")。
パクスジーンRNA採血管は特許を持つRNA安定化テクノロジー(US Patents 6,602,718 and 6,617,170)をベースにした独自の試薬成分を含んでいます。本試薬成分は、RNaseによる分解からRNA分子を保護し、ex vivo における遺伝子発現の変化を最小限に抑えます。パクスジーンRNA採血管は、全血の採取に使用され、18~25℃で最長3日間(図"RNA安定性(18~25℃):FOS" および "RNA安定性 (18~25℃):IL1B")または 2~8℃で最長5日間(図"RNA安定性(2~8℃):FOS" および "RNA安定性 (2~8℃):IL1B")。現在入手可能なデータは、–20℃あるいは–70℃で少なくとも96ヶ月間細胞RNAが安定であることを示しています。
PAXgene Blood RNA 操作は非常に簡単で、マニュアルあるいは自動化操作を使用できます(フローチャート "PAXgene Blood RNAのマニュアル操作" および "PAXgene Blood RNA操作の自動化")。
再懸濁したペレットを至適化済みのバッファーでインキュベートする際にproteinase K によるタンパク質分解を同時に行ないます。次にPAXgene Shredder spin column の遠心操作により細胞ライセートをホモジナイズし、細胞破片を除去します。 フロースルー画分の上清を新しいマイクロ遠心チューブに移します。エタノールを添加して結合条件を最適にし、ライセートをPAXgene RNA spin column にアプライします。遠心操作中にRNAは選択的にPAXgene シリカメンブレンに結合し、夾雑物は洗い流されます。残存している夾雑物は数回の洗浄ステップで効率的に除去されます。最初の洗浄ステップの後、メンブレンをDNase I で処理して微量の結合DNAを除去し、その後2回目の洗浄ステップを行ないます。洗浄ステップの後、RNAを溶出バッファーで溶出し、加熱により変性します。
QIAcubeで自動化されたサンプル調製はマニュアル操作と同じプロセス (例えば、溶解、結合、洗浄、溶出) で行なわれるため、高品質RNAの精製にお手持ちのPAXgene Blood RNA Kit を使用することができます。
RNA自動化精製プロトコールは "PAXgene Blood RNA Part A" および "PAXgene Blood RNA Part B" の2種類で構成されており、この2つの間に簡単なマニュアル操作が入ります。
遠心・洗浄・再懸濁が終了した核酸ペレットはPAXgene Blood RNA Tube からprocessing tube に移し、QIAcube装置のthermoshaker unit にセットします。メニューから "PAXgene Blood RNA Part A" プロトコールを選び、開始します。溶出バッファーによるRNAの溶出までがプロトコールのステップに従ってQIAcubeで行なわれます。精製RNAの入ったマイクロ遠心チューブを、QIAcubeのthermoshaker unit にセットします。メニューから "PAXgene Blood RNA Part B" プロトコールを選び、開始します。 QIAcube による加熱変性が行なわれます。
サンプル調製時間の平均は125分(12サンプル処理をした場合)で、マニュアルでの作業による時間はわずか20分です。
本キットをパクスジーンRNA採血管と組み合わせて使用することにより、RT-PCR解析に最適な細胞RNAを全血から精製できます。
Blood samples from 30 apparently healthy consented donors were collected in PAXgene Blood RNA Tubes (12 tubes per donor, 360 tubes in total). The contents of the tubes from 3 apparently healthy donors were pooled and subsequently realiquoted into 36 samples. These 36 samples per 3-donor-pool were manually processed by 3 different operators. Each operator used 3 different PAXgene Blood RNA Kit lots for the extraction and processed quadruplicate samples from each of the 10 donor pools. [A] RNA yield and standard deviation for every operator–lot combination. Quadruplicate blood samples from 10 donor pools were processed by 3 different operators (A, B, C) with each of 3 kit lots (1, 2, 3). The mean yields (columns) and standard deviations (error bars) per quadruplicate sample from the same donor pool for different operator and different kit lot are presented. [B] CV of RNA yield per donor pool for all operator–lot combinations (A, B, C; 1, 2, 3) as calculated from the mean yield and standard deviation of the yield shown in part A.
Features | Specifications |
---|---|
Format | Spin column |
Technology | Silica technology |
Sample amount | 2.5 ml |
Elution volume | 80 µl (2 x 40 µl) |
Main sample type | Whole blood |
Time per run | Manual: 90 min/12 samples; Automated: 151 min/12 samples |
Yield | ≥3 µg/2.5 ml sample (≥95% of all samples processed). Apparently healthy consented donors with white blood cell counts in range of 4.8 x 10^6 – 1.1 x 10^7 leukocytes/ml. |
Purification of total RNA, miRNA, poly A+ mRNA, DNA or protein | 1.18-2.2 (A260/A280) RNA; ≤1 % (w/w) genomic DNA (≥95% of all samples processed) |
Processing | Manual: centrifugation; Automated: QIAcube Connect MDx |